つくばホスピタリストの奮闘記!

つくば市在住の感染症内科医・総合内科医によるブログ。臨床現場での雑感、感染症などの話題、日常生活について発信します。2019年は東大の感染症内科、2020~2022年は筑波大の病院総合内科に所属、2022年8月からは東京医大茨城医療センターの総合診療科で臨床助教をやっています。ここでの記載内容は個人的見解です。

教育の話

サーティーワンおじさんの自慢ごと

何歳になっても、誕生日を迎えるとそれまでの1年を振り返る癖が抜けない。この1年を形容するとしたら、「交友関係に恵まれた年」ということになるのだと思う。これまでの自分の人生で、他の人の人生よりも何かが優れているというのはあんまり自覚しない。優…

社会学が最近面白い

ここ最近は異様な忙しさである。院内で病棟業務をあんまりやらずに救急外来に特化しているとはいえ、常に何かをやっている気がしていて、なかなか余暇を作り出せないものだ。それでも9月末には妻と伊東温泉に1泊2日で滞在することができたし、この間の週末に…

教育者の育成(FD)備忘録

教育者の育成のエッセンス はじめに Faculty Developmentとは 医学を学ぶ上で目指すべき学習者像 成人学習理論(Malcom Knowles) 経験学習理論(David A. Kolb) インストラクショナルデザイン(Robert M. Gagné) Kirkpatricの研修評価 出典 はじめに 2023…

1,200文字の原稿

執筆業は、自分の中でも割と得意な仕事である。どんなに忙しくても、その場で速攻でこなしてしまう。そして、記事を1本仕上げた後の達成感もなかなかに悪くない。ただ、そんな執筆業でも記事の長さによって得意・不得意のグラジエントがあるということに最近…

逆説的に忙しくなった?

業務内容を再編し、臨床から研究・教育へと少し重心を移したのがつい最近の話。すると時間ができて、暇ができて……となるのを期待したのだが、まったくそんなことはなく、却って忙しくなった。ただ、忙しさの質が心地よいものになったように感じる。理由は簡…

タスク再編

白状すると、現在の職場に移ってから仕事に対する気力がわかない状態が続いていた。仕事といっても、職場での本業に対してである。実際のところ「バイキン屋。」を立ち上げて積極的に副業を広げているのも、本業での消化不良感を燃焼するためという側面があっ…

当世大学生気質

筑波大学附属病院を出て9か月が経った。職場を離れると人の縁も薄れていくものだが、不思議と筑波大学との縁が続いているのはありがたいことだ。月1回は病院総合内科の後輩と必ず食事に行くことにしていて、自分がいなくなった後の診療科がどうなっているの…

翻訳のお仕事

臨床・研究・教育を満遍なくやっていると時間管理が非常に難しいのだが、ここ1週間は途方もなく忙しかった。まず、Dr.'s Prime Academiaの講義のお仕事が1件あった。この仕事は半年前にはじめてから既に10回くらい講義をしていると思うのだけれど、YouTubeと…

医学動画界隈という魔境

2022年8月にYouTuberデビューして、その頃から少しずつ医学教育動画を出すようになった。最初はカメラの角度の問題を某出版社のTさんからご指摘いただいて、撮影の方法を見直した。その1か月後に、先輩医師のN先生から音響設備の悪さを指摘されて、高価なマ…

Yale大学の臨床研究教室

最近、Courseraで海外の大学講義を受けることに夢中になっていることは以前に述べた。2023年のバレンタインデー以降、1日30分くらい講義を受ける時間を作るようになった。チョコレートは1か月経っても食べきれていないくせに(甘いものをあまり食べないから…

English Writing in the Sciences

いまの職場ではボスから自己研鑽に関するさまざまなtipsを教えていただいている。その一環で、異動間もないある日に英語力を磨く方法としてCourseraの "Writing in the Sciences" を受講することを勧められたのだが、その当時は新しい職場に慣れるのにも必死…

なぜ後進との学会準備が捗らないのか

医者の三大業務といえば、臨床・研究・教育である。このうち、自身の適性を教育 ≥ 研究 > 臨床と認識しているわけだが、比較的得意な教育においても悩みを抱えることがある。教育のどこが難しいかというと、もともとの士気が高い後進を育てて世界へと飛躍さ…

新鮮なる古習慣

東京医科大学茨城医療センターに赴任してからの大きな変化をひとつ挙げるとしたら、1週間が異様に短く感じられるようになったことだろうか。どうしても創業期の診療科だから、マンパワー不足による予測不可能な事態も度々生じるわけで、日々ピンチに直面して…

久しぶりの対面LIVE!

バイキン屋さんは(バイキン屋さんを名乗るだいぶ以前から)オンラインでのレクチャーをたくさんしてきたのだが、やっぱり一番好きなのは対面式のレクチャーである。というのも、「抗菌薬物語」の原型だったレクチャーは(しつこいかもしれないけど)東大病…

まったく、今どきの若者は……

筑波大学から東京医科大学に異動する頃から、筑波大学などの意欲ある学生さんを集めて、論文の読み方やLetter to the Editorの執筆方法を定期的に教えることにしている。学生さんに気に入った研究論文を適当に持ってきてもらって、その論文の問題点や周辺事…

臨床における問いの立てかた

はじめに つまらない臨床業務 いちど医者になると、毎日ひたすら臨床業務に追われることになる。患者さんが入院すると、病気を治療して、患者さんが退院していく。また患者さんが入院して、治療を挟んで退院して……という、割と同じことの繰り返しだ。実のと…

ドクプラで初レクチャーします【資料リンクあり】

筑波大学附属病院 病院総合内科の知名度を上げようと、茨城県外でも色々と宣伝活動を行っていたのですが、それをきっかけにDr.'s Prime Academiaからレクチャーのお声がけをいただきました。医師のアルバイト事情として、各病院が救急車を断らない全診療分野…

時に恋しい濃厚ディスカッション

自分は世間的には感染症科医と認識していただいているようだが、実際のところは6年間の医師生活のうち感染症診療に専従していたのはたった1年間に過ぎない。しかし、この1年は自分の中に「専門家、プロフェッショナルとは何ぞや」というイメージを醸成するに…

『マレーシア大富豪の教え』:粘るべきか、撤退するべきか

日本では「大富豪の教え」と銘打った本が数多く出版されており、なんとなく2005年前後の「品格」ブームを思い出すところがあるのだが、最近『マレーシア大富豪の教え』なる本を借りて読んだ(図書館で視界に入った本を片っ端から借りて読んでいる)。この本…

「medicina」2022年6月号が出ました ‼

最近出版された『経営者』(新潮文庫)、気になって書店で時折立ち読みしていたのだが、たまたまつくば駅前の図書館に単行本が置いてあるのを見かけたので、借りてガッツリ、楽しく読ませていただいた。とはいっても、自分のようにバブル経済の時期を知らな…

ひとり漫才

割と近いうちに本拠地を異動する予定ということで、普段週に1回通っている外勤(アルバイト)先の病院もやめる予定である。この外勤先では一般内科外来をやっていて、長い(とはいっても3年程度の)付き合いの患者さんもたくさんいるわけだが、この顔馴染み…

後輩に仕事を任せてみて

年度が変わり、新しく専攻医になった先生方に仕事の8割くらいを任せるようになってから約1か月が経った。病棟管理に関していえば、自分が切り盛りしていた数か月前ほどの安定感はないように見える。が、彼らが1か月前まで初期研修医だったことを差し引いて考…

忙しいんだか、忙しくないんだか

年度が変わり、病院総合内科の体制が大きく変化した。このことは前々から繰り返しこのブログでも書いてきたことではあるのだが、年度が始まってからGWに差し掛かるまでのこの3週間の変化は、病院総合内科はじまって以来なのかもしれないと感じている。規模的…

ひとくぎり

突然ですが、最近やって面白かった腸球菌の研究のお話をさせてください。腸球菌は、名前の通り人間の腸の中に生きている丸っこい細菌です。人間の腸の中にはほっそりとした大腸菌など他の細菌もたくさんいて、腸球菌は比較的マイナーな方の細菌ではあるので…

我が家の世界史ブーム

少し前から、我が家では世界史ブームだ。自分がCNN10を欠かさず視聴するようになったのは1~2年前くらいからだと思うが、妻もある日を境に日本のニュースを見なくなり、代わりにCNN10を見るようになった。妻は妻で、自分とは独立に日本のニュースの質の低さ…

師匠探しにはタイミングがある

人生は一生勉強。勉強という言葉に「面倒臭い」とか「だるい」とかネガティブなイメージを持つ人もいるとは思うが、実際に手を動かし始めてみるとドパミンが出てきて勉強する前の気怠さもどこかに飛んで行ってしまうものだし、新しい知識を習得して新しい考…

ビジョナリー・カンパニー

大学生時代からかなり強く意識していたものの、なかなかきっかけを掴めず読めずにいた本をついに読むことができた。「ビジョナリー・カンパニー」—— ぼくと同世代の医者で東大医学部出身なら、某先生の愛読書ということで知らぬ者のいない本だと思う。この某…

通訳と報酬

およそ2か月前から、とある言語を毎日勉強するようになりました。大学病院である関係上、筑波大学附属病院には他の病院が診たがらないような事情を抱えた患者さんが集まってくるのですが、日本語も英語も話せない患者さんが入院していて、その人の話す言語に…

臨床現場における効力感をどう引き出すか

臨床現場におけるティーチングはなかなかに難しい。特に自分自身が教える立場であり、かつ教えられる立場であるからこそ、その難しさを肌身で感じるわけである。自分がちょうど30歳手前であり、教える相手の年齢が大体20~25歳。自分も後輩も子供ではないわ…

ぽっどきゃすと? それは美味しいのかい?

コロナ禍をきっかけとして、生活のあらゆる面に電子媒体が入り込むようになってきた。1日を過ごす中で画面をのぞき込んでいる時間も飛躍的に増えた気がしていて、特にスマホの「画面を見ている時間は先週から10%増加しました」という表示を見ていると「自分…