つくばホスピタリストの奮闘記!

つくば市在住の感染症内科医・総合内科医によるブログ。臨床現場での雑感、感染症などの話題、日常生活について発信します。2019年は東大の感染症内科、2020~2022年は筑波大の病院総合内科に所属、2022年8月からは東京医大茨城医療センターの総合診療科で臨床助教をやっています。ここでの記載内容は個人的見解です。

非医学英語をどう勉強するか

先日もこのブログで書いたが、割と最近、衝撃的なことがあった。NHK語学の長寿番組であった、杉田敏先生の「実践ビジネス英語」が終わってしまったのだ。この「実践ビジネス英語」は、英語を学ぶというよりは、今後社会で一般的になっていくであろう考え方を英語で学ぶという趣が強く、どうすれば日本がもっと良い国になれるかを考えさせられるという意味でも非常に素晴らしい番組だった。聞いていてもあんまり勉強しているという感覚がなく、むしろ聞いていないと物足りなさを覚えるような、そんな内容だった。

 

この「実践ビジネス英語」終了は、インテリ層の間では「杉田ロス」としてショックでもって受け止められたわけだが、そうはいっても英語は継続的学習が大前提。後釜的な勉強法を探さなければならない。NHK語学サイドとしては、柴田真一先生の「入門ビジネス英語」を格上げすることで空いた穴を補っているが、柴田先生の講座と杉田先生の講座はそもそも目指しているものが異なる。杉田先生の「実践ビジネス英語」とはやはり異なった主旨になってしまっている (これが悪いわけではなくて、そもそも役割が違い過ぎるというだけのこと)。だから、柴田先生の新講座に乗り換えるという選択肢はなし。

 

Ito家は家族みんなが杉田先生のファンだったこともあり、今後どうやって英語の勉強を続けていくかが一家の重大案件として挙がった。実家では杉田先生のこれまでの著書をかき集めて、それを繰り返し聞いて勉強する方向に落ち着いたようである。ある日に帰省したら、杉田先生の本が大量に机の上に積み重なっていて、「これから籠城でもするつもりなのかな?」なんて笑ってしまった。Itoはというと、実家とは別に英語学習法を模索する方針にしていて、この2か月ばかり色々な教材を試しているところである。

 

f:id:TsukubaHospitalist:20210515105114j:plain

20年前の本、「杉田ロス」に落ち込む実家から送り付けられてきたよ……

 

つくば市立中央図書館では雑誌を借りることができるということで、まずは『CNN English Express』を手に取って勉強してみることにした。『CNN English Express』は、『東大理III』シリーズを読むと分かるが、東大医学部生にとっては非常に馴染みのある英語教材である。Itoは現在に至るまで手に取ったことがなかったので、恥ずかしながらの遅めデビューとなったわけだが、周りが言っていたように、確かに面白い。時事的な内容を多く学ぶことができ、諸外国が抱えている社会的問題に対する知識を深めることができる。例えば、人種差別の問題がいまだに尾を引いていて、BLM (Black Lives Matter) 問題としてちょうど激化しているさなかであるという話は、全く知らなくて勉強になった。だからこそ、ID Week 2020に参加した時も、健康格差についての講演が多かったのだと納得することができた。そして、その人種差別問題の延長線上に「人権派」とされるカマラ・ハリス副大統領の話題があるわけだ。こういった話題は日本で普通に暮らしているとまず耳に入ってこないもので、自分が如何に米国での常識に無知であるかを痛感したのである。

 

というわけで、『CNN English Express』はなかなか良い教材だと思った。ただ、これで勉強するには少し精神力を消耗する気がした。単語リストが掲載されていたり、シャドーイングを推奨していたりするところを見ると、どうしても英語を勉強させられている気持ちになってしまう。日本語訳も余計だ。英語と日本語を照らし合わせて意味を確認する作業はどうも好きになれない (英語を頭の中で和訳するのが面倒くさい)。何が言いたいかというと、Itoは英語で勉強したいのであって、英語を勉強する気はさらさらないのだ。そういうわけで、『CNN English Express』は勉強方法の候補ではあるが、最有力候補にはならなかった。

 

CNN English Express』以外の方法となると、やはり未加工の海外ニュースだ。「NHK World」や「BBC News」など色々なニュースを見て、耳慣らしには丁度いいし、新しい知識も入ってきて良いと感じたが、これらもItoにとっては不適合だった。ニュース番組は尺が様々なので、限られた勉強時間しか割けない自分にとってはなかなかにやりづらいのだ。それに、キャスターによって癖が全くなかったり、極端に癖が強かったりするため、日常学習とするには安定感がない。尺が統一されていて、同じキャスターがやっているプログラムがいい。可能であれば10分から20分くらいの尺に収まるもの。

 

そんな感じで色々と試してみて、いま一番気に入っているのが「CNN 10」という番組。まず、ニュースキャスターであるCarl Azuzさんが物凄くテンション高めの陽キャでなんだか楽しい。ニュースを理解するには歴史的背景も知らなければいけないが、Carl Azuzさんの解説はテンポが良くて、分かりやすい上に笑わせてくれる。そして、名前の通り番組の尺は10分。HP内に用意されているスクリプトをチェックして、2回聞いたとしても30分くらいで済んでしまう。おまけにキャスターのトーク力が卓越しているので、あっという間に時間が過ぎ去っていく。10分の尺の中で4本の主要なニュースを紹介しているから、内容面のバランスもとれている。「CNN 10」は元々は米国の高校生向けのニュース番組なので、米国での常識的知識もある程度補ってくれるところが素晴らしい。それにしても、最近の世界情勢は非常に物騒な感じになっていて恐ろしい…… (中国やロシアの動きは勿論、中東もいつになく荒れている)

 

f:id:TsukubaHospitalist:20210515105306j:plain

米国版の池上彰さんみたいな存在? (高校生向けニュースらしい)

 

さて、みんなはどんな方法で英語を勉強しているのだろう。無課金で済む方法であれば、色々と試行錯誤して模索し続けていきたいところだ。