つくばホスピタリストの奮闘記!

つくば市在住の感染症内科医・総合内科医によるブログ。臨床現場での雑感、感染症などの話題、日常生活について発信します。2019年は東大の感染症内科、2020~2022年は筑波大の病院総合内科に所属、2022年8月からは東京医大茨城医療センターの総合診療科で臨床助教をやっています。ここでの記載内容は個人的見解です。

メダカの越冬チャレンジが成功したようです

我が家では200尾のメダカをベランダの池で飼育している。もともとは3年前に4尾くらいだったのが、爆発的に繁殖しては大量絶滅を繰り返して、およそ200尾くらいで安定している。メダカを屋外飼育していると、必ず問題になるのが冬越しである。家の中に入れても良いのだが、さすがに200尾も家に入れるわけにはいなかいということで、今年も越冬チャレンジを敢行したのだった。

 

昨年も屋外飼育のままで越冬させたのだが、その時は全滅とまではいかずともメダカが氷漬けになるという事案が発生して「さすがにこれは可哀そうだな」「来年は何か工夫しないとな」という結論だった。それで、今年は小さめのビニールハウスを購入して、メダカ池をその中に入れて越冬リベンジをしたというわけ。それで、結果はどうだったかというと……

 

f:id:TsukubaHospitalist:20220312171819p:plain

肌艶よし! 元気!!

 

2尾くらいは越冬できずに死んでしまったのだが、殆どのメダカが生存しているという奇跡的な結果だった(慣れた飼い主的には奇跡でもなんでもないようだが……)。ビニールハウス最強説! 実際、1月や2月の本当に寒い時にメダカ温室に手を突っ込むと、外気温よりも1~2℃くらい暖かくて、メダカ池の表面が凍り付いたこともなかった。ということで、勝因を忘れないように列挙しておくと

  1.  ビニールハウスで寒暖差を減らすことができた。
  2.  与えるエサを普段の1/10程度に絞ったら水質汚染を防げた。

この2点に尽きるんだろうなぁと思った。メダカは普段食欲旺盛な魚ではあるのだが(特に夏場はめっちゃエサを要求してくる)、冬になるとエサを殆ど食べなくなってしまうので、食べ残しで水が汚れてしまう懸念がある。専門家が言うにはエサを1/10程度に絞って与えるのが良いとのことだったが、実際にやってみて真実なんだろうなぁと思った。

 

その一方で、反省点が2点

  1.  冬は乾燥しやすいので小まめに水を補充するべきだった。
  2.  越冬シーズンに入る前に水草をトリミングするべきだった。

越冬シーズンでもビニールハウスを使っていると、水草が物凄い勢いで育ってしまうことに気がついたわけだ。水草が育つこと自体は悪いことではないのだが、あまり育ちすぎるとメダカが泳ぐスペースがなくなってしまい、ストレスを与えてしまいかねない。かといって、越冬シーズン中に水草をトリミングすると、エネルギー制限中のメダカを起こして刺激することにもなりかねない。次回の越冬チャレンジの折には、水草を秋のうちにトリミングするつもりだ。

 

我が家はこんな感じでのほほんとしているが、世界情勢は相変わらずだ。ウクライナ侵攻問題の裏では小麦・原油価格の高騰が凄まじい勢いで進んでいて、世界秩序の今後が非常に心配である。そして、日本が平和であること、食べ物とかインフラに困らないことには感謝しないといけない。もっとも、日本が今のペースで貧しくなっていくと、20年後にはこの平和を維持できなくなっているのではという危機感はあるが……。「くれぐれも日本を変えようと思うな」と周りから釘を刺されてもいるが……。さて。

 

f:id:TsukubaHospitalist:20220312173456j:plain

偉大なる図書館のお陰で、全部タダ読み。医療の外にこそ学ぶことが多い

 

今週の読書

  • 日本の論点 2021~2022』—— 大前研一さんの本は今回がはじめてなのだが、自分が中学生だった頃から書店で平積みになっているのをずっとよく見かけていたので、図書館での出会いを契機に読んでみようと思った。日米の直近の金融政策(アベノミクスやトランプ・マジック)に見られる金融緩和政策が長期目線で景気を後退させかねないとして、痛烈に批判していた(もっとも、金融緩和の良し悪しは自分のような素人には今一つピンと来なくて、専門家によって意見が大きく割れているので解釈に注意が必要かも……)。また、菅政権における政策(行政のデジタル化、不妊治療の保険適用)については、「理念は良いかもしれないが、その理念なら手をつけるべきはそこじゃないだろう」みたいな論調で、もっと優先すべき政策を色々と提案していた(例えば、少子高齢化に対しては戸籍制度の撤廃が最優先との由)。著者の意見の中には自分が知らなかった話も多かったので勉強になったが、同時に自分なりに考えないと流されて行ってしまいそうだなとも感じた。
  • 『ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術』—— タイトルだけだと単なる値切り交渉のコツみたいな本に見えてしまうのだが、実際には機知(ウィット)にとんだコミュニケーションの実践例を豊富に紹介していて面白かった一冊。ジェイン・オースティンの小説なんかを読んでいると、人物どうしの掛け合いが非常に知的で羨ましさを感じてしまうのだが、そういったコミュニケーションを現実の世界で行うコツみたいなものをたくさん示している。例えば、相手の信条のようなものがあれば、それを逆手にとって交渉してみるなど。「敵ながらあっぱれ!」と相手を思わず微笑ませるような交渉術へのヒント。
  • ティール組織』—— 新しいマネジメントの方法論かと思いきや、極端な言い方をすれば「脱・マネジメント」というパラダイム・シフトを提案しているようにすら見えてしまう一冊。これまでのマネジメントは、従業員が性悪であることを前提として、それを如何に働かせるか(恐怖政治とか金銭的インセンティブとか)に重点を置いていた。「ティール組織」においては従業員の性善性を信じて、従業員個々の意思決定を重視している(つまり、意思決定が偉い人の専売特許ではないということ)。「サーバント・リーダーシップ」という言葉が日本に輸入されて使われ始めたのは、自分が高校~大学教養学部にいた2010年頃だったように記憶しているが、当時の「サーバント・リーダーシップ」は割と漠然とした概念で、どのように実践するのかが明確でなかった。「ティール組織」は「サーバント・リーダーシップ」と相補的であり、これらのシナジー効果によって経営学は今後大きく進歩していくのかなぁと思った。
  • ヒトラーへの285枚の手紙」—— これは本ではなくて映画。ハンペル事件を題材にしている。いまロシアはウクライナ侵略戦争を仕掛けているわけだが、侵略戦争を仕掛けている国の内側ではどのように為政者が見えているものなのか知りたいと思って鑑賞した。この映画を選んだ理由は、フランスを征服して戦況的に有利だった頃のドイツを題材にしていたから。作中でドイツ国民が「ハイル・ヒトラー!(ヒトラー万歳)」と言って、戦勝気分に沸いていたわけだが、今のロシアでも一部ではこんな雰囲気になっているのかなぁと感じた次第である。なお、2022年3月12日の朝日新聞の記事によると、(信じたくはないのだが)プーチンの支持率は80%弱とのこと(どこまでアテになるかは分からん)。

 

f:id:TsukubaHospitalist:20220312173557j:plain

ウクライナ侵攻を受け、「昔はどうだったか?」確認したくなって戦争映画へ