つくばホスピタリストの奮闘記!

つくば市在住の感染症内科医・総合内科医によるブログ。臨床現場での雑感、感染症などの話題、日常生活について発信します。2019年は東大の感染症内科、2020~2022年は筑波大の病院総合内科に所属、2022年8月からは東京医大茨城医療センターの総合診療科で臨床助教をやっています。ここでの記載内容は個人的見解です。

心電図を学びなおすのだ!

実は最近、こっそりと心電図を学びなおしている。というのも、筑波大学附属病院の病院総合内科では循環器内科出身の指導医が患者さんの心電図を読まれていることもあって、自分はあまり真面目に心電図を読んでいなかったのだが、新しい職場は総合内科医ばかりで循環器内科医によるアセスメントに触れる機会が減ってしまうのである。そうすると、自分で心電図を読んで、責任をもって判断しないといけない。一介のバイキン屋が心電図を読めるはずもなく、慌てて心電図を勉強しなおしているというわけだ。

 

学生時代にも心電図を理解しようと思って勉強していたが、その時は盛大に挫折した。心電図の書籍は、どう読んでも眠くなる。いまの自分は、頭の柔らかさという意味では学生時代よりも劣っているのだろうが、実戦での経験値はそれなりにある……そういうわけで、僅かながらの希望を託して『心電図のみかた、考えかた』(中外医学社)を読み直している。無理なく1日に30~40ページくらい読めるよう、専用の時間も設けた。

 

外来の合間にも少しずつ。分厚い本を寝落ちせずに読む秘訣は、スキマ時間

 

それで数日読んでみて200ページくらいまで進んだのだが、この本は分厚さの割に非常に分かりやすい。そして、トンでもないことに気がついた。自分の心電図の理解度が笑ってしまうくらい低い。極めて初歩的な話ではあるのだが、洞調律の定義からして問題があることに気がついてしまったのだ(P波が見慣れた雰囲気なら洞調律でいいでしょ……くらいの感覚だった)。この医師年数でここまで心電図を知らないのは恥ずかしいものだなと思いながらも、一文一文を噛みしめながら勉強している。後輩たちがカンファレンスで議論していたのってこういう話だったのかと、深く頷きながら読んでいるわけだ。当然ながら眠くなることはないし、今回は挫折せずに学べそうな気がする。

 

コロナ禍やウクライナ問題で最近は下火のようにも見えるのだが、少し前までは学びなおしブームみたいなものがあった。本来であれば売れるわけもない世界史の本とかがよく売れる。だけど、世界史みたいに知の総合格闘技のような科目を受験のためだけに学ぶのも勿体ないわけで、やはり社会経験を積む中で疑問に感じることが出てきて、そういった中で勉強するとまた別の風景が見えてくるもの。心電図の勉強も同じようなもので、大学医学部での講義・実習で勉強するだけでは面白いところまで辿りつけない性質なのかもしれない。

 

 

さて、この本で心電図を学んだ後に、どう実戦に生かそうか。学びっぱなしじゃ、絶対に身につかない。カルテに心電図を読む手順を単語登録機能で覚えさせておいて、読んだ心電図所見を丁寧にカルテに残していくというのが良さそうだな。例えば、「心電図:」と入力すると、心電図所見のチェックリストがバーッとカルテに呼び出される仕様にするとか。自分のようなオールドファッション人間が新しい技を習得するには、やはり型稽古に限るだろう。少しずつでいいから、人並みのレベルになれるよう仕上げていきたいところだ。