つくばホスピタリストの奮闘記!

つくば市在住の感染症内科医・総合内科医によるブログ。臨床現場での雑感、感染症などの話題、日常生活について発信します。2019年は東大の感染症内科、2020~2022年は筑波大の病院総合内科に所属、2022年8月からは東京医大茨城医療センターの総合診療科で臨床助教をやっています。ここでの記載内容は個人的見解です。

我らが足元の「少子化」対策

医療機関にとって、梅雨明けは専攻医向けの新歓シーズンが到来したことを意味する。筑波大学附属病院も例外ではなく、各診療科が競うように院内にポスターを貼っては新歓に力を入れてきている状況だ。某内科は某大河ドラマをパロディーにした派手なポスターを掲示した後に(恐らくは偉い人から厳重注意されて)撤去している。某外科のポスターに至っては、夕日を背景に半ば透明化した教授の顔が映し出されていて、「花京院! イギー! アヴドゥル! 終わったよ……」的な雰囲気になってしまっている。まぁ要するに、院内掲示板が学園祭さながらの無法地帯になっているというわけだな。ここぞとばかりに各診療科の医局員の深層心理が垣間見えてしまう(医局員が教授に刃向かえるのはポスターの中だけだ!)。では、病院総合内科も院内にポスターを貼っているかというと、なんと実は……まだである。どういう状況か説明しよう。

 

安定のポステン。美味しいけど、コストプッシュでちょっと値上がり……汗

 

病院総合内科のポスターの大雑把なレイアウトは既にできあがっているのだ。というか、1か月前くらいに自分が作った。それで、「この四角いスペースに集合写真を入れようぞー」という感じで、9割くらい完成した状態にしてある。だから、集合写真さえ撮影できればポスターも即完成。ところが、その集合写真がなかなか撮れない。というのも、病院総合内科のメンバーが完全に揃う曜日が金曜日しかないので、タイミングが限られてしまうのだ。「じゃあ、金曜日に撮ればいいじゃん」という話になるのだが、そうは問屋が卸さなくて、どんなに呼びかけてもなかなか診療科全体で写真を撮る「雰囲気」にならないという問題が生じてしまっている。なぜこうなった……

 

答えは簡単。新歓をやらなくても、向こう1年くらいは困らないから。新歓が効いてくるのは、どちらかといえば2年後、3年後、あるいはそれ以降のお話……これは長期目線の問題なのである。そう考えると、現時点で現場を回しているメンバーの中で新歓がなかなか盛り上がってこないのも致し方なしかなとは思う。ただ、この問題には既視感がある —— そう、少子化問題……これも対策なしで数年単位なら困らないのだが、10年後、20年後というタイムスケールで国を危機に陥れる問題なのだ。なんというか、少子化を放置していた国に怒りたい気持ちも山々だったのだが、自分たちの足元でも似たようなことが生じつつあるのを見ていると、ある程度は致し方なしなのかとも思えてきてしまう。現状に満足すると未来のことに危機感を抱けなくなるのは、人間のサガというものなのかもしれない。

 

さりとて、(あと1か月で離れる身ではあるが)病院総合内科が今後衰退していくのはどうにも気分が悪い。この診療科には愛着がある。それに、他ならぬこの診療科が茨城県において担うべきミッションも、確かにあるはずなのだ。そういうわけで、今後しばらくは新歓などの地固めの重要性を診療科に浸透させていかないといけないなと思っている。10年の計に向けての意識改革。まずは集合写真を撮影して、ほぼできあがっているポスターを完成させること(本当にそれだけのことなのだが……!)。そして今年の新歓を上手く軌道に乗せること。新歓が一度上手くいけば、その成功体験が次年度以降の新歓に向けてのモチベーションにもなるハズ。病院総合内科の黄金時代を今にしないことが、自分にできるせめてもの置き土産だと思っている。

 

……さて、我々のポスターは来週の診療科説明会までに間に合うのか!? (;´∀`)