つくばホスピタリストの奮闘記!

筑波大学附属病院 病院総合内科に所属する専攻医によるブログです。まだ創設間もない病院総合内科での活動を発信していきます!!

2021年の梅雨、新歓シーズンになりました!

こんにちは、Itoです。今年の梅雨は時間帯によって雨の降り具合が異なっていて、移動手段を選ぶのが難しいですね。早朝、あまり雨が降っていないものだから自転車で簡単に通勤できるだろうと思っていたら、出かける頃には大雨に変わっていて、急遽バス通勤に切り替えて危うく遅刻しそうになる。そんな日に限って夕方は雨が上がって、ゆっくりと徒歩で帰る羽目になるわけです。雨上がりの空気は塵が落ちて澄み切っているのか、少しばかり清い感じがして、そんな空気を胸いっぱいに吸い込みながら帰り道を楽しむのも嫌いではないので、まぁ、よしとしましょうか。白黒でモノトナスな病院にずっといるのだし、しっかりと目を見開いて緑と紫を感じるようにしています。紫というのは、道端に咲く紫陽花のことですね。

 

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潮来市あやめ祭り、お囃子が素敵でした

 

筑波大学附属病院 病院総合内科の知名度が低すぎるという問題について、最近は積極的に外に向けて手を打つようにしています。例えば、ジェネラリストサロンへの働きかけ。この世は厄介なことに、富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなるという酷い仕様でできあがっているのですが(この現実は直視するしかない)、臨床研修についても同様で有名病院に若手が殺到する仕組みになってしまっていて、ここに風穴を開けるのは容易ではありません。新参者がこの問題を乗り越えるにはジェネラリストサロンへの参加が肝要と考えています。なんだか、欧米列強に入ろうと努力する明治維新の日本の気分です。

 

取り組みの一例として、こういう文章を拡散してみるわけです。

筑波大学附属病院 病院総合内科は2017年に創設された診療科です。それ以前の筑波大学附属病院には元々、総合内科の病棟がありませんでしたが、新専門医制度を開始するにあたって幅広い内科研修のできる場所として設立されました。「診療科」といっても、他診療科のように「その医局に所属してずっと居続ける」という性質の場所ではなくて、どちらかといえばサブスペシャリティで不足する部分を補充するための場所として成立しています。

 

例えば、サブスペシャリティのまだ決まっていない専攻医の先生。病院総合内科に身を置いてとりあえず内科専門医資格に必要な症例を集めながら、将来どこに所属するかを冷静に決めることができます。また、サブスペシャリティが既に決まっているけれども、それ以外の内科を短期間でローテーションするのは育児などで心配、あるいは救急からの入院症例を中心に短期ローテーションではなく幅広い内科症例を経験し、内科専門医資格の症例を集めていくことができます。

 

ざっと2つのプランを提示してみましたが、病院総合内科はまだ創設間もなく、決まったルールなどもなく個別に対応可能なので、例えば病院総合内科とローテート制度の折衷案なども希望があれば検討することができますし、ICU/ERチームで研修することも可能です。専攻医の先生方の希望に寄り添えるような場所を目指していきたいと考えています。要するに、独立した診療科ではありますが、シェルターとか、出入りしやすいコミュニティとか、そういった場所です。

 

実際の勤務内容としては、救急集中治療科の病棟チームとして救急外来からの軽症~中等症患者さんの入院管理、重症でICU/HCUに入院していた患者さんの気道・循環安定後の入院管理引き継ぎなどを主な内容としています。患者さんの背景疾患のバリエーションに富んでおり、内科専門医資格(J-OSLER)に必要な症例を集めることは問題なく可能です (年間200名程度を入院診療しています)。今のところは常時5~15人の患者さんを2人の専攻医と0~2人の臨床研修医で診ていて、それを指導医の先生が監督しているという体制をとっています。

 

“病院総合内科” という名前ですが、救急・集中治療科の病棟チームから立ち上がっており、業務は密に連携しています。時間のオン・オフにはかなり意識的であり、夜間はICU当直の医師が病棟の入院患者にも対応するため、基本的にはコールフリーです。また、現時点では週4日 + 外勤 + 週末オンコールという割と普通の勤務スケジュールになっていますが、個人ごとの事情を勘案しながら勤務形態を練り上げていけたらと考えています。

 

世の中には様々な診療科がありますが、ぼくらは育休や産休の前後で忙しい先生方にこそ来てほしいなと思っています。育休や産休の前後で忙しい先生方を中心として診療科のかたちを整えていくことで、長期的には今後同じように大変な先生方が現れた時に駆け込むことのできるような場所をこの世に作り出したいと考えています。幸いにして筑波大学は喧騒の東京からは丁度よい距離にあります。秋葉原から乗り換えなしで電車45分なので、東京から駆け込むには無理のないレベルです。

 

もちろん、つくば市の暮らしやすさは保証いたします。地方特有のご飯のおいしさは言うまでもないですが、大学近くには図書館とか博物館がたくさんあるので、知的で充実した余暇を過ごすことができます(つくば駅筑波大学の間にあるので立ち寄りやすいです)。「研究学園都市」と呼ばれるほど国立の研究所や製薬会社をはじめとした企業研究所が数多くあり、あちこち見学すると子供も大人も楽しいです。洞峰公園など、散歩していて心地よい公園にも恵まれています。色々と語りたいことは多いのですが、とかく景観の美しい場所です。都会から一度飛び込んでみたら、意外な住みやすさの虜になること間違いなしでしょう。

 

認知度を上げるために外に向かって積極策を繰り広げていますが、茨城県外への認知度は容易には上がってこないと思っています。大事なのは短期的に頑張ることではなく、長期的にジャブを繰り出していくことです。サロン内で「病院総合内科、聞いたことがある」と思ってもらえるレベルになれば、今のところは上々です。逆に、最近は茨城県内での認知度をしっかり上げていくことを目標にしています。昨年度は「医師数の少ない茨城県内で人材を奪い合うのは忍びない」と考えて、茨城県内での働きかけを控えていた面があったのですが、むしろある程度の規模にならないと茨城県外から人材を呼び込むのは難しいと感じて、茨城県内の人材を重視する方針にとりあえずは転換しているところです。

 

とはいえ、長期的には茨城県医師不足の解決を目標にしたいので、ある程度の知名度を獲得することができたら、茨城県外からの呼び込みに力を入れないと病院総合内科の未来はないとも思っています(Itoの私見です)。診療科の存続という些末な問題に汲々とするのではなく、むしろ社会問題を解決する起爆点となるような、そういう診療科を目指さない限りは診療科の存続すら危ういことでしょう。こういった話は、様々な企業の歴史が証明しています。

 

自分で言うのもアレですが、病院総合内科の底力は凄まじいです(というか、凄まじくしないと勝ち目がない世の中なので、ゲームをやり込む感覚でみんなで楽しく頑張っています)。月に2本はPubMed論文をコンスタントに通していますし、オン・オフもここ以上にしっかりしている診療科はないのではと思っています。疾患診療の幅も広いのですが、それについては過去のブログや病院総合内科から出ている症例報告を見ていただければ一目瞭然なので割愛します。「あまりにも話が上手すぎて、なんだか怪しい」という理由で敬遠している先生がいるのではないかと思いますが、「こんな職場が存在していたら面白いのでは」と思うような場所を少しずつ作っているわけです。

 

どうしてそんな診療科を作っているかというと、やはり「教育病院の閉鎖性」に風穴を開けたいという願いが強いから。昔からItoには大きな不満があります。大抵の教育病院はハイパー過ぎる。一流の教育を受けたければ教育病院に入って、朝早くから夜遅くまで歯を食いしばって勤務しなければならないわけです。でも、Itoは朝6時、7時なんかに病院に出勤したくはないです。頭の回転の良い早朝は、自宅で論文や本を読んだり、研究のアイデアを練ったりするのに使いたいから。昼の数倍は捗る時間帯なので、ルーチンワークにあててしまうのが勿体ない。夜20時、21時を過ぎてまで残業するのも無理です。もともと体力がないので、夕方にはヘロヘロになって全てがどうでもよくなってきてしまう。そもそも、残業しないと患者さんの命を守れない状況というのは、医療安全面でちょっと問題なのではとも思っています(つまりはキャパオーバーです)。何を言いたいかというと、学問と根性は全くの別物なのに、そこが混同されているのではという不満があるということです。

 

そういうわけで、病院総合内科は「勉強になるけど根性論に依存しない画期的な場所」を目指しています。それこそ、産休や育休の前後でハンデキャップがある状態でも十分に機能するようなところを。産休や育休の前後の医師を求める理由も明確で、そういうメンバーが集まって働き方のニーズをはっきりさせないと、そういった医師にとって真に優しい医療現場を実現することができないからです。思うに、彼らにとっての労働環境が厳しい大きな理由のひとつは、そういった人たちが各所に散ってしまっていることではないでしょうか。そういった人たちが一箇所に集まって結束してお互いの不足分を埋めあえば、ちゃんと機能する医療現場を作り出せるのではないでしょうか。

 

Itoは病院総合内科を、ゆくゆくは「正規ルート」なるものから逸脱しかかっている医師が集まって、お互い助け合っていくようなコミュニティにしていきたいと思っています。この世に一箇所くらい、そんな優しい医療現場があっても良いじゃないですか。この荒々しくて、お世辞にも弱者に優しいとは言えない社会に救済の場を築き上げることができれば、茨城県の医療も先行き決して暗くはないと信じています。