つくばホスピタリストの奮闘記!

つくば市在住の感染症内科医・総合内科医によるブログ。臨床現場での雑感、感染症などの話題、日常生活について発信します。2019年は東大の感染症内科、2020~2022年は筑波大の病院総合内科に所属、2022年8月からは東京医大茨城医療センターの総合診療科で臨床助教をやっています。ここでの記載内容は個人的見解です。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

生ワクチンの奇妙な副効果

【注意】本記事は副効果を期待しての生ワクチン接種を推奨するものではありませんので、その点はご注意ください! Lancet Infectious Diseasesを普段から読んでいるのですが、なかなか興味深い記事を見かけたので紹介したいと思います。COVID-19流行の割と初…

キノロン系の中で自分が使ったことのないやつ

はじめに 参加者の皆様に大感謝! 2022年8月26日に「抗菌薬物語 III」(復習編)をDr.'s Prime Academiaで行いましたが、120名もの方にご参加いただき、とてもありがたいことだなと思いました。初回の「抗菌薬物語 III」の参加者数が750名で、その後の「抗菌…

昭和時代の二人の賢人

図書館にほぼ毎日通っては本を借りて、故人を含むいろいろな人の考え方を学んでいるのだが、個人的に読んでいて爽やかな気持ちになれる著者を挙げるなら、小倉昌男さんと中野孝次さんだと思う。小倉昌男さんは、ヤマト運輸で「宅配便」を生み出した伝説的経…

絶望の国の絶望の時代のミドルマネージャー

新しい職場でどうにもならない医療現場をどうにかしようとジタバタしている今日この頃、昔からお世話になっている大先輩からメッセージをいただいた。なんでも、茨城県で自分なりに今の医療に問題意識を抱いている若手を集めて「地域医療構想調整会議」なる…

Prolonged infusionでの抗菌薬投与

はじめに 2022年8月19日の「抗菌薬物語 I + II」(復習編)で幾つもご質問をいただき、そのうち「低アルブミン血症ではセフトリアキソンの効果が減弱するのか?」「セフトリアキソンは1 g, 12時間毎 点滴静注と2 g, 24時間毎 点滴静注のどちらが良いのか?」…

セフトリアキソンの投与量(non-CNS dose)

セフトリアキソンの投与量についてご質問いただく機会が結構あって、さらに「抗菌薬物語 I + II」(復習編)でもご質問いただいたので、この機会に文献を紹介しようと思います。具体的には、「セフトリアキソンを1 g, 12時間毎 点滴静注(2 g/日)で投与する…

アルブミンと抗菌薬の用量

はじめに 「抗菌薬物語 I + II」(復習編)を2022年8月19日にレクチャーさせていただきましたが、裏番組がジブリであったにもかからわず850名もの方にご参加いただきました。今回ご参加いただいた皆様はきっと「となりのトトロ」を犠牲にして今回のレクチャ…

臨床における問いの立てかた

はじめに つまらない臨床業務 いちど医者になると、毎日ひたすら臨床業務に追われることになる。患者さんが入院すると、病気を治療して、患者さんが退院していく。また患者さんが入院して、治療を挟んで退院して……という、割と同じことの繰り返しだ。実のと…

思いのほか難しいキャリアパス(大学院と博士号)

珍しく(?)、大きな悩みの話…… 東京医大に来てからポストに就いていると言うと「え、ポスト!? 出世早すぎない?」みたいな反応が返ってくることが多くて、さぞかし順調なイメージがあるようなのだが、当の本人としては自分のキャリアパスが見通せなくて…

尿路感染症に対する予防的抗菌薬投与

はじめに 「抗菌薬物語Ⅲ」のレクチャーをした時に様々な質問をいただいていて、「キノロンの使い分け」とか「頭頚部手術の周術期抗菌薬の延長」とかに関しては回答させていただいていたのですが、「尿カテ長期留置 or 膀胱瘻の症例における尿路感染症予防の…

自己決定権という名の主人公補正

筑波大学から東京医大に異動して2週間目が終了した。カルテの扱いは慣れてきたし、患者さんも何人か退院まで持っていけたわけだが、それでもまだ居心地が悪い。理由として、これまで「カルテが富士通製でなく使いづらい」とか「ベッドコントロールをしていな…

周術期抗菌薬は術後24-48時間まで

はじめに Dr.'s Prime Academiaで「抗菌薬物語Ⅲ」をレクチャーした際に色々とご質問をいただいたのですが、その中で周術期抗菌薬に関するものがあったので、今回の記事ではそのあたりを取り上げようと思います。手術部位感染症を予防するために、術直前から…

キノロン嫌いによるキノロン談話

はじめに Dr.’s Prime Academiaで連続レクチャー「抗菌薬物語」をさせていただいておりますが、皆様のおかげで打ち切りとならずに第3回を迎えることができました。初回「ペニシリン系」が参加者50名、第2回「セフェム系」が250名、第3回「経口βラクタム系と…

入院病床の適正化という課題

新しい職場に赴任してから2週間目。いろいろと設備面などで仰天することばかりであったが、「何があっても驚くまい」という心構えになっていくうちに、段々と心身ともに慣れてきたような気はする。しかし、慣れてきた上で今の職場が働きやすいかと言われると…

腸球菌について少しだけ

Dr.'s Prime Academiaで抗菌薬のレクチャーをしているのですが、直近の回では参加者が250名にも達していて、正直驚いております。それだけ抗菌薬のレクチャーに需要があるということを再認識するとともに、観ていただいている皆さんにとって有意義な時間とな…

劣悪過ぎる通勤路を本気でハックしてみた

通勤路は生活リズムを考えるにあたって、極めて重要な要素だ。以前の職場である筑波大学附属病院は自宅から割合近く、ママチャリを全力で漕げば10分で到着する距離だった。しかし、いまの職場である東京医大茨城医療センターはつくば市からのアクセスが非常…

良くも悪くもお部屋を賜ってしまった件

2022年8月1日を以って、東京医科大学臨床助教に任じられた! ……なんて言ってしまうと、まぁ、直前までレジデント(研修医)の身分ではあったこともあって、なんとなく新鮮な心地がしそうなものである。しかし、実際のところはやる仕事が大きく変わるとも思え…