つくばホスピタリストの奮闘記!

つくば市在住の感染症内科医・総合内科医によるブログ。臨床現場での雑感、感染症などの話題、日常生活について発信します。2019年は東大の感染症内科、2020~2022年は筑波大の病院総合内科に所属、2022年8月からは東京医大茨城医療センターの総合診療科で臨床助教をやっています。ここでの記載内容は個人的見解です。

心電図オンチによる心電図学びなおし反省会

この間ブログでも書いていたように1か月くらい前から心電図を学びなおしていたのだが、ようやく自分でも納得のいく仕上がりになってきた。回診の時に心電図を議論することが多々あるのだが、パッと心電図が提示された時に注目するポイントがだいぶ増えたような気がする。

 

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というのも、これまではQ波なんて全くといって良いほど確認していなかったわけで、そのあたりが解釈できるようになると、無症状の患者さんの心電図で「心筋梗塞の疑い」と読まれてしまっても、ある程度は自信をもって臨床判断を下すことができるようになった気がする。

 

この心電図の学びなおしは、当然臨床医としての自分にとって有益だったわけだが、同時に執筆者としての自分にとっても非常に有益なプロセスだったように思う。というのも、あんまり知識のない事柄をどのようにして学んでいくのが定着しやすいかを自分なりに再確認することができたからだ。基本的には、知識を学んだらひたすら復習していくのが王道で、その意見に変わりはない。が、やっぱり独学にはコツみたいなものがあるなーというのを再確認したわけだ。

 

当たり前のことではあるのだが、勉強を進めるには理解と暗記の両方が必要だ。理解を得る方法としては、第一に説明が上手な人のレクチャーを受けることが望ましい。ただし、地方だと周りに指導者がいないこともあるので、その場合は説明の詳しい書籍を選ぶのがよい。では、レクチャーや詳しい書籍を使えば暗記できるかというと全然そんなことはなくて、暗記のためには繰り返し学ぶ必要があるので、なるべく周回しやすい簡潔な書籍を用いる必要がある(簡潔な書籍がなければ、自分でまとめノートを作る)。簡潔な書籍を読んでインプットすることは、同時進行で行間を頭で補う作業も加わるわけだから、無意識のアウトプットも兼ねることになる —— インプットとアウトプットの同時進行ほど学びになるやり方はないので、この方法は普遍的にお勧めだ。

 

自分が心電図を学びなおすにあたっても、同じようなプロセスを踏んだ。具体的には、理解のために『心電図のみかた、考えかた』(中外医学社)の基礎編と応用編を読んだ。この段階で、とりあえず分かった気にはなった。分かった気になったくらいでは実臨床に応用することも難しく、インプットの工程を経る必要があるのだが、かといって『心電図のみかた、考えかた』シリーズを周回して頭に叩き込むのも少々しんどいものがある。

 

そこで、自分は暗記のために『ECGブック』(メディカル・サイエンス・インターナショナル)を2周ばかり読み込んでみた。簡潔な本なので、心電図の成り立ちの理由などはあまり書かれていないのだが、箇条書きゆえに困った時なんかは非常に検索しやすい。加えて、説明本でないため、余白への書き込みをしやすいというメリットがある。従って、『心電図のみかた、考えかた』に載っていた説明書きなんかを書き込んで理解を深める使い方ができるわけだ。

 

『ECGブック』は初めて学ぶに不向きだが、知識がついてからだと扱いやすい

 

あとは、このプロセスを感染症診療の学び方へと応用できないものだろうか。というのも、自分も抗菌薬の使い方に関する書籍を出版するという目標を持っているから。まずは詳しく抗菌薬のスペクトラムの成り立ちを説明する書籍を出版する(同時進行で、映像講義* も用いてその説明を補完する)。次に、その説明を踏襲した構成で、簡潔にスペクトラムや副作用が箇条書きで書かれたようなハンドブックを公開できるとbetter。そういう流れを組むことができたら、抗菌薬を上手に使える医師が日本でもっと増えていくんじゃないかなと考えるのである。

* YouTubeで個人的にやる場合は初期の拡散性が弱すぎるため、スポンサー企業の力も少しお借りすることにした! ('ω')