つくばホスピタリストの奮闘記!

つくば市在住の感染症内科医・総合内科医によるブログ。臨床現場での雑感、感染症などの話題、日常生活について発信します。2019年は東大の感染症内科、2020~2022年は筑波大の病院総合内科に所属、2022年8月からは東京医大茨城医療センターの総合診療科で臨床助教をやっています。ここでの記載内容は個人的見解です。

結果を出すリーダーの働き方(メモ)

唐突にこれは何なのか

藤田医科大学総合診療科の大杉教授のもとでマネジメント基礎研修プログラムを聴講しているのだが、その内容をメモした。今回は「結果を出すリーダーの働き方」というテーマである。ちなみに、次回以降もこのようにまとめるかは不明。吾輩のやる気次第である。

 

水曜日に当直に入る時は必ずこれ食べる

 

あたまの使い方

同じ内容でも「主語・場所・時間」を変えて考えると異なる結論が導かれる。これは「視点・視座・視野」を変えると言い換えられる。ひとつの「視点・視座・視野」に留まってはならない。「現場主義」とは、トップがトップの座からいったん現場に降りはするが、その後にまたトップの座に戻って決断することである。トップは現場に降りたまま決断してはならない。現場で決断するのは「現場主義」ではなく、ただの「現場判断」である。「視点・視座・視野」を臨機応変に変えられることが重要なのである。

 

結果を出すリーダーの働き方

1)パワー基盤をつくる

仕事の成果は、戦略と実行度の掛け算である。実行度はパワーで規定され、パワーの源泉は信頼である。「信頼」は、なすことの大義、その人の専門性(能力)、ネットワーク(人脈)、人間性、そして言行一致によって成立する。パワー基盤をつくるプロセスとして、まずは[1]信頼残高を増やすことが大切である。日々の挨拶など些末な習慣を大切にすることが信頼残高に繋がる。信頼残高を作れれば、[2]人脈を作ることができる。機能する人脈とは、困った時に誰か適任者を紹介してくれるようなつながりのことであり、こういったつながりを日々意識して築いておく必要がある。また、[3]利害関係を斟酌して根回しする努力を怠ってはならない。

 

2)基本的なプランを構築する

プランは動画のイメージで表現できるものでなければならない。誰が案件に関わって、その人たちがどんなタイプで、その人たちによって何がいつまでにできそうか。これが明確になることをプラニングと呼ぶ。そのためには、[1]会社のミッションやビジョンとの整合性を担保する必要がある。これは、壁に当たった時の挫折に対する抑止力として働く。次に、[2]やること、やらないことの判断基準を明確化する。やらないことを明確化せずに失敗するケースが多い。そして、[3]マイルストーンの構築。これをしないと途中段階でのフィードバックができなくなる。[4]リスクを想定することや[5]定期的にプランを見直すことを最初に盛り込むことを忘れずに。

 

3)実行にとりかかる

実行するには士気が大切である。士気の根本は信頼であり、そのためには成果を見せる必要がある。成果を見せるためには "small win" を積極的に狙う。これは最も効果の上がりやすいことを優先的にやるということでもある。例えば、最悪の状況、最も簡単な状況、最も困っている状況は成果を可視化しやすい。また、成果を称賛することはチームの士気を上げる効果がある。「できる」(can)よりも「やりたい」(want)。「やりたい」(want)よりも「やるのが楽しみ」(enjoy)。ここまでチームを持っていくことを目標とする。「やりたい」(want)と思わせる程度では不十分なのだ。米国企業の楽しみとしては、"Friday night" という習慣が存在し、みんなでピザを食べて、互いに褒め合う文化を作っているようである。参加メンバーを巻き込むことも重要で、相手の存在を認めつつも、自らの思いを伝えて態度で見せる。相手を存在しないかのように扱うことをしないよう注意する。

 

4)実行を継続する

継続の要はコミュニケーションであり、聞き手と話し手には常に温度差があることを意識することが非常に重要である。言ったことを聞いてもらえているとは限らないし、聞いてもらったことが聴かれたとは限らないし、聴いてもらったとしても理解してもらえたとは限らない。コミュニケーションの難しさはかくのごときものである。コミュニケーションの円滑化のため、組織文化から入っていくのはひとつの方法である。日本で社員旅行が失われていく間、GAFAMでは社員旅行にお金を出して推奨していたとのことだが、これはコミュニケーション文化の醸成という名目であった。会議で偉い人がしかめ面をしているとコミュニケーションの妨げになるため、アイスクリームをわざと会議に出してしかめ面を阻止している企業が存在する。甘いもので毒物を浄化するのも姑息だが有効な場面がある。

 

5)自ら成長し続ける

まず、[1]目の前のことに集中して後回し・人任せにしない。例えば、オフィスの珈琲が残り僅かな状態で残っている時に、放置せずに自分で洗いに出せるか。些細なことを蔑ろにしないことである。また、[2]ロールモデルを念頭に置き、[3]メンターを持つことが成長の秘訣である。メンターは複数人いてもよい。意欲的であるにも関わらず伸び悩む人はメンター不在のケースが多い。[4]自ら振り返る時間をもつことも大切で、時にひとりになって内省するようにしたい。マルクス・アウレリウスの『自省録』は参考になるかもしれない。日本には温泉という最高の場所がある。[5]身の回りにあることを全てから学ぶ姿勢を持つことも大切だが、変に権力や財力があると足で稼ぐことを蔑ろにしがちなので注意したい。市民を知りたければ、企業にアンケート調査を頼むのでなくて自分の足で市民に問いにいくべきである。また、[6]学び方を知れば、他のことを学ぶスピードも速くなる。学び方を知るには常にチャレンジし続けること。常に新しいことに取り組んでみること。そういったチャレンジする姿勢を同僚に見せることで、[7]個人だけでなく集団の成長を促すことも、結果的に個人の成長につなげることができるであろう。