つくばホスピタリストの奮闘記!

つくば市在住の感染症内科医・総合内科医によるブログ。臨床現場での雑感、感染症などの話題、日常生活について発信します。2019年は東大の感染症内科、2020~2022年は筑波大の病院総合内科に所属、2022年8月からは東京医大茨城医療センターの総合診療科で臨床助教をやっています。ここでの記載内容は個人的見解です。

2022-01-01から1年間の記事一覧

『マレーシア大富豪の教え』:粘るべきか、撤退するべきか

日本では「大富豪の教え」と銘打った本が数多く出版されており、なんとなく2005年前後の「品格」ブームを思い出すところがあるのだが、最近『マレーシア大富豪の教え』なる本を借りて読んだ(図書館で視界に入った本を片っ端から借りて読んでいる)。この本…

《内科専門医試験》腎臓内科まとめ

総論・PAS染色はメサンギウム器質病変を検出:IgA腎症、急性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、ループス腎炎・PAM染色は膜(Maku)病変を検出:膜性腎症(膜にスパイク)、膜性増殖性糸球体腎炎(膜が二重)、ループス腎炎・気道感染を契機とした血尿の鑑別…

《内科専門医試験》感染症・アレルギー・膠原病まとめ

内科専門医試験対策の一環でまとめていたノートを順次公開している。今回は感染症内科とアレルギー膠原病内科、もし間違いを見つけたら教えていただけると幸いである。なお、「風邪に抗菌薬は使わない」みたいな基本知識は全然入れていなくて、個人的に「面…

「medicina」2022年6月号が出ました ‼

最近出版された『経営者』(新潮文庫)、気になって書店で時折立ち読みしていたのだが、たまたまつくば駅前の図書館に単行本が置いてあるのを見かけたので、借りてガッツリ、楽しく読ませていただいた。とはいっても、自分のようにバブル経済の時期を知らな…

《内科専門医試験》神経内科まとめ

内科専門医試験対策の一環でまとめていたノートを順次公開している。今回は神経内科、もし間違いを見つけたら教えていただけると幸いである。なお、「脳梗塞は脳の血管が血栓などで詰まって起こる」みたいな基本知識は全然入れていなくて、個人的に「面白い…

仮想クビのすすめ

いきなり「クビ」とはなんと物騒な言葉を!と思われたかもしれないが、ちょうど所属が変わる時期なので、こういう物騒な話題をしても大丈夫だろうということで、敢えて持ち出してみた。医療機関において医者が干されることは多々あるようなのだが、「クビ」…

《動画編集》AviUtl? Vrew? もう頭がメチャクチャだぁ

YouTuber義勇軍からIn Shotを教わってもらってからというもの、スマホ内に撮りためてきた動画を使って動画編集の練習をしていたのだが、大変なことに気がついてしまった。「自分が作る教育動画ってスマホじゃなくてパソコンで作る予定だから、このままだとマ…

《内科専門医試験》呼吸器内科まとめ

内科専門医試験対策の一環でまとめていたノートを順次公開している。今回は呼吸器内科、もし間違いを見つけたら教えていただけると幸いである。なお、「COPDでは閉塞性換気障害を認める」みたいな基本知識は全然入れていなくて、個人的に「面白いなー」とか…

YouTuber義勇軍あらわる

内科専門医試験前にYouTuberになるなんて言い出して、その後の内科専門医試験で凡ミスだらけの答案を仕上げてから早くも1週間。YouTuberの特訓がどうなっているのか、気になっている人もいるかと思う。というか、そもそもYouTuberって言葉がパワーワード過ぎ…

《内科専門医試験》消化器内科まとめ

内科専門医試験対策の一環でまとめていたノートを順次公開している。今回は消化器内科、もし間違いを見つけたら教えていただけると幸いである。なお、「ノロウイルスは急性腸炎の原因となる」みたいな基本知識は全然入れていなくて、個人的に「面白いなー」…

《内科専門医試験》循環器内科まとめ

内科専門医試験対策の一環でまとめていたノートを一部公開することにした。今回は循環器内科、この分野は素人なので間違いもそれなりにあると思っている。もし見つけたら教えていただけると幸いである。なお、「心筋梗塞ではトロポニンが上昇する」みたいな…

《内科専門医試験》いやぁ、これは長門ゲーでしたね

内科専門医試験を受験してきた。が、会場が横浜だったものだから、茨城から出てきたついでに色々と華やかな夜のベイエリアを楽しんできた。赤レンガ倉庫はリニューアルのために閉鎖中だったが、その周りに新しい建物がたくさん建設されているようで、ちょっ…

「さむねいる」をお勉強した!

ひょんなことから始まってしまった「ゆーちゅーばーにおれはなるッ!」企画。正直なところなれる気が全くしないのであるが、それでも「なるッ!」って宣言してみないと永遠にきっかけを掴めずに終わってしまいそうだったので、できもしないくせに無理して宣…

大人様ランチ690円

最近、何かのニュースで「大人様ランチ」なるものを見かけた。なんでも、とんかつ屋チェーン店のかつやがそういうメニューを始めたようなのだ。基本的に、食事はチェーン店を避けて選ぶようにはしているのだが、SNSなどで話題になったものについては一度自分…

ひとり漫才

割と近いうちに本拠地を異動する予定ということで、普段週に1回通っている外勤(アルバイト)先の病院もやめる予定である。この外勤先では一般内科外来をやっていて、長い(とはいっても3年程度の)付き合いの患者さんもたくさんいるわけだが、この顔馴染み…

病院総合内科 2021年度入院実績

はじめに 診療体制の変化で慌ただしくなっており、公表が遅れてしまいましたが、昨年度の病院総合内科における診療実績を公表いたします。病院総合内科への参加を考えている皆様、ホスピタリスト業のみでJ-OSLERを完遂することに不安を抱えている皆様にとっ…

マンモスの化石で元気になれるか検証中

医者として、臨床・教育・研究・執筆と多方面で仕事をするのはなかなか大変だ。「人間には1日24時間しか与えられていない」というのもそうなのだが、自分の場合はそれ以前にスタミナが足りていないので、早朝の数時間くらいしか絶好調で仕事ができないという…

内科専門医試験対策がなかなか……

病院総合内科の運営をどうのこうのとやっていると、つい自分が専攻医であることを忘れてしまう。しかし、まだ自分は20代である。実はレジデントの身分だ。ある勉強会では自己紹介した時に「レジデントですよね?」と返されたことがあるのだが、「言われてみ…

後輩に仕事を任せてみて

年度が変わり、新しく専攻医になった先生方に仕事の8割くらいを任せるようになってから約1か月が経った。病棟管理に関していえば、自分が切り盛りしていた数か月前ほどの安定感はないように見える。が、彼らが1か月前まで初期研修医だったことを差し引いて考…

忙しいんだか、忙しくないんだか

年度が変わり、病院総合内科の体制が大きく変化した。このことは前々から繰り返しこのブログでも書いてきたことではあるのだが、年度が始まってからGWに差し掛かるまでのこの3週間の変化は、病院総合内科はじまって以来なのかもしれないと感じている。規模的…

資本主義下のchoosing wisely

産業革命以来、世界は主に資本主義というシステムによって動かされている。正確に定義する自信が全くないのでWikipediaを貼り付けると、資本主義とは「生産手段の私的所有と利益のための運用を基本とする経済システム」とのことで、「私的所有」と「利益」が…

シロスタゾール

病院総合内科で患者さんの治療方針を決める際は、なるべく海外文献をもとにディスカッションすることを心掛けていますが、そうしていると日本で古くから行われているけども海外では基本的にやらないようなプラクティスが目に付くようになります。そのうちの…

新しい診療科の形を再考してみる

「総合診療科」や「総合内科」という部門が何をやっているのかは、医師以外に対してはなかなか説明しがたいところだなと思います。最近「ドクターG」などの番組を通じて、専門科を横断して難しい病気を診断するところなんだと世間一般から思われているような…

競争ぎらい(ゆとりミレニアル世代の代弁)

今週の1冊。値段が価値を歪め、社会を壊した —— まぁその通りかと思います 論文を毎朝10本読み込んで、得た知識を実臨床の中で検証していく。臨床研究を矢継ぎ早に実施して、ひたすら論文を書いて出していく。抗菌薬のレクチャーなど、教育もバッチリやる。……

ひとくぎり

突然ですが、最近やって面白かった腸球菌の研究のお話をさせてください。腸球菌は、名前の通り人間の腸の中に生きている丸っこい細菌です。人間の腸の中にはほっそりとした大腸菌など他の細菌もたくさんいて、腸球菌は比較的マイナーな方の細菌ではあるので…

メダカの越冬チャレンジが成功したようです

我が家では200尾のメダカをベランダの池で飼育している。もともとは3年前に4尾くらいだったのが、爆発的に繁殖しては大量絶滅を繰り返して、およそ200尾くらいで安定している。メダカを屋外飼育していると、必ず問題になるのが冬越しである。家の中に入れて…

我が家の世界史ブーム

少し前から、我が家では世界史ブームだ。自分がCNN10を欠かさず視聴するようになったのは1~2年前くらいからだと思うが、妻もある日を境に日本のニュースを見なくなり、代わりにCNN10を見るようになった。妻は妻で、自分とは独立に日本のニュースの質の低さ…

大動脈解離によるCRP上昇 — 治療対象か、否か

最近、病院総合内科からInfectious Diseases Now(旧:Médecine et Maladies Infectieuses, IF 2.152)に臨床研究をひとつ出しました。もともとはoriginal articleとして出すつもりでしたが、テーマが新しくてdiscussionを充実させづらかったという事情もあ…

唐突ながら、チューリッヒ

病院総合内科は、これまで臨床研究、症例報告、オピニオンなどを数多くpublishしてきましたが、その多くが単施設、それも病院総合内科だけに限局した内容でした。国際共同研究どころか、国内多施設研究すらやってこなかったわけです。ところが、実は現在、病…

師匠探しにはタイミングがある

人生は一生勉強。勉強という言葉に「面倒臭い」とか「だるい」とかネガティブなイメージを持つ人もいるとは思うが、実際に手を動かし始めてみるとドパミンが出てきて勉強する前の気怠さもどこかに飛んで行ってしまうものだし、新しい知識を習得して新しい考…